PHP脆弱性への対応|PHP2shellで中小企業が今やること

  • 公開日
  • 約10分で読めます
PHP脆弱性への対応|PHP2shellで中小企業が今やること のイメージ画像
目次8

この記事のポイント

  • 2026年10月、PHPにとても危険な弱点(脆弱性)「PHP2shell」が見つかりました。ログインしなくても、外からプログラムを動かされるおそれがあります。
  • PHPを使っているなら、修正版(8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35以上)への更新がいちばんの対策です。
  • PHP 8.1以前は通常の修正版が出ません。応急処置をして、早めにバージョンアップを計画しましょう。
  • 作った会社と連絡がとれなくても、ソースコードを読めば対応できます。

2026年10月、Webサイトや業務システムで広く使われているプログラミング言語「PHP」に、とても危険な弱点(脆弱性)が見つかりました。結論から言うと、PHPを使っているなら、修正版に更新することが一番の対策です。

古いPHPのままで更新できない場合は、外からのアクセスを制限するなどの応急処置をして、早めにバージョンアップの計画を立てる必要があります。この記事では、ITが専門でない経営者・担当者の方に向けて、何が起きたのか、今日なにを確認すればよいのか、制作会社に何を頼めばよいのかを、できるだけやさしく説明します。

何が起きたのか(2026年10月のPHP脆弱性)

2026年10月21日、PHPの開発チームが2つの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)を直した修正版を公開しました。2つを組み合わせた攻撃は「PHP2shell」と呼ばれています。

9.2/10

深刻さ(CVSS v4.0)。いちばん深刻なレベル

2件

組み合わせて悪用される脆弱性

8.1以前

通常の修正版が出ないバージョン

CVSSは、脆弱性の深刻さを10点満点で表す世界共通の指標です。9.2点は「緊急(Critical)」にあたります。

2026年10月の動き

  • PHPが修正版を公開

    PHP 8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35で、2つの脆弱性が直りました。

  • IPAとJPCERT/CCが注意喚起

    IPA(情報処理推進機構)とJPCERT/CC(JPCERTコーディネーションセンター)が、修正版の適用を呼びかけました。

  • 関連する別の問題が公表

    CVE-2026-115560。まだ修正版はなく、設定の変更で守るよう案内されています(くわしくは後述)。

  • 「実際に悪用された」と認定

    米国の政府機関CISAが、2つの脆弱性を「実際に悪用が確認された脆弱性」の一覧に加えました。

  • 国内の被害は「把握していない」

    IPAは、この時点で国内での被害事例は把握していないとしています。

政府の国家サイバー統括室もSNSで、修正版をできるだけ早く適用するよう呼びかけ、対応が難しい場合はWebサイトを一時停止することも有効な対策だとしています。実際に、大手のWebサービスでも一時停止して緊急メンテナンスを行う例が相次ぎました。

法律の義務ではありませんが…

これらは法律で義務づけられたものではなく、あくまで「注意喚起」です。ただ、被害が出たときに困るのは自社とお客様です。早めに動くことを強くおすすめします。

攻撃されると、何が起きる?

PHP2shellのこわいところは、ログインしなくても、インターネットの外側から攻撃できることです。流れを図にすると、次のようになります。

1弱いサイトを探すプログラムで自動的に探します
2細工したアクセスログインは必要ありません
3サーバーで勝手に実行攻撃者のプログラムが動きます
4被害書きかえ・情報の流出など
図1:PHP2shellがサーバーに届くまで(イメージ)

勝手にプログラムを動かす

外から送りこんだプログラムを、あなたのサーバーで動かされるおそれがあります。

ホームページの書きかえ

会社のサイトに、身に覚えのない内容やページを置かれることがあります。

お客様の情報が盗まれる

問い合わせや会員の情報など、サーバーにあるデータが盗まれかねません。

小さな会社のサイトも狙われます

攻撃の多くは、プログラムで自動的に弱いサイトを探して行われます。会社の大きさや知名度は関係ありません。

自分の会社は関係ある?まずはここを確認

「PHPなんて使っているかわからない」という方も多いと思います。次のどれかに当てはまれば、PHPを使っている可能性が高いです。

  • ホームページをWordPressで作っている(WordPressはPHPで動いています)
  • レンタルサーバーで、会社のサイトやお問い合わせフォームを動かしている
  • 予約・受発注・会員管理などのWebシステムを、制作会社に作ってもらった
  • システムの説明に「Laravel(ララベル)」「CakePHP(ケイクピーエイチピー)」という名前が出てくる

PHPのバージョンの確認方法

専門知識がなくても、次の方法でおおよそ確認できます。

WordPressの場合

管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」タブ→「サーバー」に、PHPのバージョンが表示されます。

レンタルサーバーの場合

サーバー会社の管理画面に「PHPバージョン設定」などの項目があります。お知らせメールも確認しましょう。

作ってもらったシステム

制作会社・保守会社に「PHPのバージョンと、今回の脆弱性への対応状況」を問い合わせるのが確実です。

修正版のバージョン一覧

今のPHP対応方法サポート期限
PHP 8.58.5.12以上に更新2029年12月31日
PHP 8.48.4.27以上に更新2028年12月31日
PHP 8.38.3.36以上に更新2027年12月31日
PHP 8.28.2.35以上に更新2026年12月31日で終了
PHP 8.1以前
(7.4・7系・5系など)
通常の修正版は出ません。応急処置とバージョンアップの計画が必要ですサポート終了

数字だけで判断しないで

Linuxのサーバーでは、OSの会社(Red Hatなど)が独自に修正を配っている場合もあります。バージョンの数字だけで判断せず、制作会社やサーバー会社に確認してください。

今日やること・制作会社に頼むこと

  1. PHPを使っているシステムを洗い出す

    ホームページ、フォーム、社内システムなど、思いつくものを書き出します。

  2. 担当の会社に連絡する

    「今回のPHPの脆弱性(PHP2shell)の対応はどうなっていますか」と聞きます。

  3. 修正版への更新をお願いする

    本番に入れる前に、テスト用の環境で動作を確認してもらいましょう。

  4. すぐ更新できないなら応急処置

    管理画面へのアクセスを社内だけに制限する、使っていないシステムを止める、場合によってはサイトを一時停止する、などです。

  5. 攻撃の跡がないか調べてもらう

    JPCERT/CCは、PHPの処理が何度も異常終了していないか、不審なファイルや通信がないかの確認を呼びかけています。ログ(サーバーの記録)の確認をお願いしましょう。

関連する問題(CVE-2026-115560)にも注意

10月23日に公表された関連の問題には、まだ修正版がありません。PHPの開発チームは、設定の変更(session.upload_progress.enabled=0)をすすめています。制作会社にはこの点もあわせて伝えると安心です。

古いPHP(7.4・5系など)のままの場合

いちばん困るのがこのケースです。PHP 8.1以前はすでにサポートが終わっていて、普通の修正版は配られません。

  • PHPの開発チームは7.4・8.0・8.1向けに最小限の修正を公開していますが、自分たちでPHPに組み込む必要があり、専門的な作業になります。
  • IPAが紹介しているセキュリティ会社の調査では、PHP 5.4以降は今回の脆弱性の少なくとも一つの影響を受けるとされています。

IPAは、修正版への更新が難しい場合、アクセス制限やサービスの一時停止を検討すること、そして長い目では「そのシステムは本当に必要か」「入れかえや移行ができるか」「保守を続ける予算と人がいるか」を見直すよう呼びかけています。

古いまま放置すると

  • 自動で弱いサイトを探す攻撃の的になる
  • 書きかえや情報流出のおそれが続く
  • 次の脆弱性が出ても、また直せない
  • いざというときに、あわてて対応することになる

今のうちに対応すると

  • 応急処置で、まず危険を小さくできる
  • PHP 8系に上げれば、修正版を受けとれる
  • 次の脆弱性にも、更新だけで対応しやすい
  • 予算と時期を、自分たちで決められる

つまり、古いPHPのシステムは「とりあえずのパッチ」でしのいでも、いずれPHP 8系へのバージョンアップが必要になります。費用や進め方はPHPバージョンアップの費用と進め方でくわしく説明しています。

「頼める相手がいない」ときは

実際によく聞くのは、こんな声です。

  • 作った会社と連絡がとれない
  • 仕様書などの資料がない
  • 社内の担当者が辞めて、だれも中身がわからない

このような場合でも、あきらめる必要はありません。システムの中にあるプログラム(ソースコード)を読めば、どう動いているかを調べ直すことができます。くわしくはシステム保守の引き継ぎ|資料がない・開発会社と連絡がとれない時をご覧ください。

よくある質問

小さな会社のホームページでも狙われますか?

はい。攻撃の多くは、プログラムで自動的に弱いサイトを探して行われます。会社の大きさは関係ありません。

レンタルサーバーなら、サーバー会社が直してくれますか?

サーバー会社がPHPを更新してくれる場合もありますが、管理画面で古いPHPを選んだままだと対象外になることがあります。サーバー会社のお知らせと、今選んでいるバージョンを確認しましょう。

PHPを更新すると、サイトが動かなくなりませんか?

同じ系列内(例:8.3.xから8.3.36)の更新なら、影響は小さいことがほとんどです。7系から8系のような大きな更新では、プログラムの修正が必要になることがあります。必ずテストしてから本番に入れましょう。

対応が終われば、もう安心ですか?

PHPには今後も新しい脆弱性が見つかります。PHP 8.2は2026年12月31日でサポートが終わります。定期的に更新できる保守の体制をつくっておくことが大切です。

Digi Dinosにご相談ください

Digi Dinos(デジダイノス)は、ベトナムと日本(横浜)に拠点を持つソフトウェア開発会社です。創業から8年、150件以上のプロジェクトを手がけてきました。日本語で対応できるチームが、古いPHPシステムの脆弱性対応・バージョンアップ・保守の引き継ぎをお手伝いします。

すばやいパッチ対応

新しく公表された脆弱性(CVE)に、すぐに対応します。

まとめてバージョンアップ

PHP・Laravel・CakePHP・独自のプログラムから、サーバーやOSまで。

資料がなくても大丈夫

私たちがプログラムを読んで調べ、仕様書を作り直したうえで計画をご提案します。

永久保証

保守契約を続けていただいている間は、期限なく保証します。

PHP以外の言語で作られた古いシステムも対応しています。

PHP2shell・古いPHPの対応

「うちのシステムは大丈夫?」からご相談ください

今の状況をうかがい、まず何をすればいいかを一緒に整理します。日本語でやりとりできます。

関連記事