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Linuxカーネル脆弱性の対応|悪用されたFragnesia

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目次8

2026年10月28日、米国のCISAは、Linux(リナックス)の中心部分「カーネル」の脆弱性 CVE-2026-46300(通称 Fragnesia/フラグネシア)を「実際に悪用が確認された脆弱性」の一覧に加えました。10月に大きな話題になったPHPの脆弱性「PHP2shell」と組み合わせて、サーバーの全権限(root)を奪う攻撃に使われています。

修正版は2026年5月に出ています。言いかえると、サーバーのOSを半年近く更新していない会社が、いまねらわれています。この記事では、確かめ方と対応の手順を順番に説明します。

この記事のポイント

  • 2026年5月中旬より前のカーネルのまま動いているLinuxサーバーは、修正版のカーネルに更新して、再起動しましょう。
  • この脆弱性だけでは、外から直接は入れません。ただしPHP2shellなどで一度入り込まれると、そこからサーバーのすべてを乗っ取られます。
  • PHPを使っている場合は、PHPの修正版への更新もあわせて行いましょう。
  • 攻撃の跡はメモリの中にしか残らないため、あやしいときは再起動の前に調べるのが大切です。

7.8

深刻度(CVSS・高)

3日

CISAが米政府機関に求めた対応期限

25台

PHP2shellとの連鎖でrootを奪われたと報告された機器(日本を含む)

ことばの説明

Linuxカーネル=Linuxの中心となる部分です。Webサーバーや業務システムのサーバーの多くが、Linuxの上で動いています。

root(ルート)=サーバーの中で、何でもできる一番強い権限です。これを奪われると、データの盗み出しや書き換え、裏口の設置など、何でもされてしまいます。

脆弱性(ぜいじゃくせい)=システムの"弱いところ"。悪い人に見つかると、そこから攻撃されるおそれがあります。

どんな脆弱性? なぜ今、問題になっているの?

Fragnesiaは、Linuxカーネルの通信を処理する部分(IPsecという暗号化通信のしくみ)の不具合です。サーバーの中でふつうの権限しか持たない利用者やプログラムが、読み取り専用のはずのファイルの中身を書きかえ、rootの権限を手に入れられるおそれがあります。

この弱いところは2026年5月に公表され、攻撃の再現方法(PoC)も同じころから公開されていました。それが10月になって改めて注目されたのは、次のような「組み合わせ」の攻撃が見つかったからです。

STEP 1PHP2shellで侵入PHPの弱いところから、ふつうの権限で入り込む
STEP 2Fragnesiaでrootにカーネルの弱いところで全権限を奪う
STEP 3裏口を設置再起動しても残る入口を作る
図1 報告された攻撃の流れ(CISA、Dream Researchの報告より)

日本の機器も被害に

セキュリティ会社のDream Researchは、PHP2shellとFragnesiaを組み合わせた攻撃で、米国・日本・台湾・韓国の機器25台がrootを奪われたと報告しています。被害が報告されたのは、インターネットに管理画面を公開していたファイアウォール製品でした。CISAも「PHP2shellと組み合わせ、root権限でWebシェル(遠隔操作の入口)を設置できる」と説明しています。

一般的なPHPのWebサーバーで同じ被害が出たという報告は、10月31日時点ではありません。ただし、仕組みのうえでは同じ組み合わせが成り立つため、油断はできません。

対象の版と、移る先

Linuxカーネルの公式の修正は、2026年5月中旬に出ています。実際には、使っているLinuxの配布元(ディストリビューション)が出す修正済みのカーネルに更新します。

Linuxの種類修正済みのカーネル(これ以降)公開日
Amazon Linux 2023kernel-6.1.170-213.321.amzn20232026年5月15日
Amazon Linux 2kernel-4.14.355-282.729.amzn22026年5月15日
Red Hat Enterprise Linux 9/AlmaLinux 9/Rocky Linux 9kernel-5.14.0-687.10.1.el9_82026年5月20日〜
Red Hat Enterprise Linux 8/AlmaLinux 8/Rocky Linux 8kernel-4.18.0-553.125.1.el8_102026年5月20日〜
Red Hat Enterprise Linux 10kernel-6.12.0-211.16.1.el10_22026年5月20日
Ubuntu 24.04 LTS6.8.0-124.124(AWS向けは6.8.0-1057.60)2026年6月2日
Ubuntu 22.04 LTS5.15.0-181.191(AWS向けは5.15.0-1109.116)2026年6月4日
Debian 13/Debian 126.12.90-1/6.1.174-12026年5月23日/28日
Ubuntu 20.04・18.04対象外(Ubuntu発表)—

※Red Hat Enterprise Linux 7は、Red Hatの発表では対象外です。ただし、通常のサポートはすでに終わっていて、延長サポートを契約していなければ、ほかの弱いところは直りません。サポート期限は「古いシステムの脆弱性対策」にまとめています。

更新しただけでは直りません。再起動が必要です

新しいカーネルは、サーバーを再起動してはじめて使われます。「更新はしたけれど、何か月も再起動していない」サーバーは、古いカーネルのまま動いています。止めずに直せる「ライブパッチ」が使える場合もあります(Amazon Linux、Ubuntuなど)。

これまでの流れ

  • 脆弱性が公表され、攻撃の再現方法(PoC)も公開
  • Amazon Linux、Red Hat、Debian、Ubuntuなどが修正済みのカーネルを公開
  • PHPの脆弱性「PHP2shell」の修正版が公開
  • PHP2shellとFragnesiaを組み合わせた攻撃で、最初の機器がrootを奪われる(Dream Researchの報告)
  • CISAが「悪用が確認された脆弱性」に追加。対応期限はわずか3日(10月31日)
  • JPCERT/CCがPHPの注意喚起を更新し、Linuxカーネルの脆弱性との組み合わせにふれる

確かめて、対応する5ステップ

  1. Linuxサーバーを洗い出す

    Webサイト、業務システム、社内のファイルサーバーなど、Linuxで動いているサーバーをすべて書き出します。クラウド(AWSなど)のサーバーも忘れずに。

  2. いま動いているカーネルの版を確認する

    サーバーにログインして uname -r と入力すると、動いているカーネルの版が出ます。上の表の版より古ければ、更新が必要です。

  3. PHP2shellの被害がないか先に確かめる

    PHPを使っていて、10月21日の修正版にまだ更新していなかった場合は、入り込まれていないかを先に調べます。攻撃の跡はメモリの中にしか残らず、再起動すると消えてしまうからです。

  4. カーネルとPHPを更新し、再起動する

    利用の少ない時間に、OSのパッケージをまとめて更新して再起動します。PHPを使っている場合は、PHPも修正版に更新します。

  5. 更新を続ける仕組みをつくる

    今回の攻撃は「半年前に出ていた修正を当てていない」サーバーがねらわれました。月に一度など、OSの更新と再起動を決まった間隔で行う計画を立てましょう。

すぐに再起動できないときの応急処置

Red Hatは、IPsec(暗号化通信)を使っていないサーバーでは、関係する部品(esp4・esp6)を読み込まないようにする方法を案内しています。ただし、IPsecを使ったVPNなどは止まります。設定を変える前に、必ず保守会社に相談してください。

放っておくと? 対応すると?

そのままにした場合

  • Webアプリの小さな弱いところから、サーバー全体を乗っ取られるおそれ
  • 再起動しても消えない裏口を仕掛けられるおそれ
  • 社内のほかのサーバーへ、被害が広がるおそれ

カーネルを更新し、再起動した場合

  • 万一入り込まれても、被害を小さくとどめられる
  • 5月以降に直った、ほかの弱いところもまとめて直る
  • 取引先にも「対応済み」と説明できる

開発会社・保守会社・サーバー会社に聞いておきたいこと

  • うちのサーバーのLinuxの種類と、いま動いているカーネルの版を教えてください。
  • 最後にOSを更新し、再起動したのはいつですか?
  • CVE-2026-46300(Fragnesia)の修正済みカーネルには、いつ更新できますか?
  • PHPを使っている場合、PHP2shellの修正版には更新済みですか? 入り込まれた形跡は調べましたか?
  • OSの更新と再起動は、どのくらいの間隔で行う計画ですか?

PHP2shellそのものの対応は「PHP脆弱性への対応|PHP2shellで中小企業が今やること」で解説しています。

Digi Dinosにおまかせください

Digi Dinos(デジダイノス)は、ベトナムと日本に拠点をもつシステム開発会社です。創業から8年、150件以上のプロジェクトを手がけてきました。日本語ができるチームが対応します。

  • サーバーの更新と点検:OSやカーネルの更新、再起動の計画、更新後の動作確認まで対応します。
  • 古いシステムの保守を引き継ぎ:PHP、Java、Node.js、Python、Ruby、.NETなど、主な言語に対応します。
  • 新しい脆弱性への対応:今回のような更新が出たら、影響を調べて修正します。
  • 資料がなくても大丈夫:作った会社がいない、仕様がだれにもわからないシステムでも、プログラムを読んで調べ、資料を作り直し、計画をまとめてご提案します。
  • 永久保証:私たちが手を入れた部分に不具合が見つかったら、責任をもって直します。保守契約を続けていただいている間は、期限を区切らずに保証します。

「うちのサーバーは大丈夫?」というご相談だけでも(相談無料)

カーネルの版の確認から、更新・再起動の計画まで、日本語でご案内します。サーバーを作った会社と連絡がとれない場合もご相談ください。

よくある質問

この脆弱性だけで、外から攻撃されますか?

いいえ。Fragnesiaは、すでにサーバーの中でプログラムを動かせる人が、権限を上げるための弱いところです。ただし、Webアプリの弱いところ(PHP2shellなど)と組み合わせると、外からの攻撃でサーバー全体を乗っ取られるおそれがあります。

レンタルサーバーを使っています。何かする必要はありますか?

共用のレンタルサーバーなら、OSの更新はふつうサーバー会社が行います。サーバー会社の案内を確認してください。VPSやクラウドのサーバーを自社で借りている場合は、更新は自社(または保守会社)の担当です。

再起動すると、サイトやシステムが止まりますか?

再起動の数分ほど止まります。利用の少ない時間に行い、再起動のあとにサイトや業務システムが正しく動くかを確かめましょう。

費用はどれくらいかかりますか?

サーバーの台数や、OSの古さによって変わるため、まず現状を調べてからお見積もりします。調べた結果をもとに、全体の計画と費用をわかりやすくご説明します。

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