Ivanti脆弱性の対応|VPN機器の更新と侵入調査の手順
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VPN機器「Ivanti Connect Secure(イバンティ・コネクトセキュア)」を狙う攻撃で、3つの脆弱性が組み合わせて使われました。10月29日に新しい修正版が公開され、10月30日には米国のCISAが2件を「実際に悪用が確認された脆弱性」の一覧に加えました。
大事なのは、10月中旬に更新を済ませた会社も、もう一度更新が必要だという点です。さらに今回の攻撃は痕跡が残りにくく、更新だけでは「侵入されていない」とは言えません。社内のVPNをだれが管理しているかわからない会社でも進められるよう、順番に説明します。
この記事のポイント
- 25.1.1.3 または 22.8R2.6 が、3つの脆弱性すべてを直した版です。
- 10月に入れた 25.1.1.2/22.8R2.5 では足りません。もう一度更新してください。
- Ivantiの点検ツール(ICT)では、今回の攻撃は見つけられません。「問題なし」と出ても安心はできません。
- 更新や再起動で消える記録があるため、可能なら先にログとメモリを保存しましょう。
3件
組み合わせて使われた脆弱性
root
ログインなしで奪われる最高権限
10月3日
Volexity社が確認した攻撃の開始
ことばの説明
VPN(ブイピーエヌ)=社外から社内のネットワークへ安全につなぐ仕組みです。テレワークや、拠点どうしの接続に使われます。
Ivanti Connect Secure=企業向けのVPN機器です。以前は「Pulse Connect Secure」という名前でした。
root(ルート)=機器の中で、どんな操作でもできる最高の権限です。
Active Directory(AD)=社内のアカウントやパソコンをまとめて管理する仕組みです。
どんな攻撃? なぜ危ないの?
調査したVolexity社によると、攻撃者は3つの弱いところを順番に使いました。1つずつでは条件が必要でも、つなげるとログインなしで、VPN機器の最高権限を奪えることになります。当時の最新版だった機器でも被害が確認されました。
| CVE番号 | 弱いところ |
|---|---|
| CVE-2026-104935 | ログインの確認をすり抜け、プログラムを実行される |
| CVE-2026-118527 | 予測できる番号を使い、狙った場所にファイルを置かれる(Ivantiの評価は4.3) |
| CVE-2026-111357 | 機器の中で最高権限まで上げられる(Ivantiの評価は8.8) |
VPN機器は社内ネットワークの入り口です。ここを取られると、被害は機器の中だけで終わりません。今回の攻撃では、次のような動きが報告されています。
パスワードの窃取
機器に保存された社内アカウントの情報を抜き取り、通信からも集めていました。
社内ネットワークの調査
Active Directoryから、パソコンの管理者パスワードや、ディスク暗号化の回復キーを探していました。
痕跡の消去
マルウェアを置かず、メモリの中だけで動き、ログの該当部分を消していました。
「点検ツールで問題なし」でも安心できません
Ivantiの点検ツール(Integrity Checker Tool、ICT)は、機器のファイルに変更がないかを調べるものです。Volexity社によると、今回の攻撃はファイルを残さないため、ICTでは検知できません。侵入の有無を調べるには、通信やメモリの調査が必要です。
被害の規模について
Ivantiは「限られた数のお客様」が被害を受けたとし、Volexity社が確認した被害組織は1件です。攻撃者(UTA0576と呼ばれています)の正体はわかっていません。私たちが確認した範囲では、この記事の時点で、日本国内の被害の公表は見つかっていません。
対象の版と、移る先
| 今の版 | 状況 | 移る先 |
|---|---|---|
| 25.1.1.1以前 | 3件すべて対象 | 25.1.1.3以降 |
| 25.1.1.2 | 2件が残る | 25.1.1.3以降 |
| 25.1.2.2以前 | 対象 | Ivantiの公式案内で最新版を確認 |
| 22.8R2.4以前 | 3件すべて対象 | 25.1.1.3以降(難しければ22.8R2.6) |
| 22.8R2.5 | 2件が残る | 25.1.1.3以降(難しければ22.8R2.6) |
※Ivantiは22.8系から25.1.1.3以降への移行を勧めていて、すぐに移れない場合に22.8R2.6を案内しています。報道によると回避策は示されておらず、更新が修正の方法です。
※25.1.2系、25.1.3系の扱いは報道によって書き方が違います。必ずIvantiの公式アドバイザリで確認してください。
これまでの流れ
- Volexity社が確認した攻撃の開始。別の調査会社は10月1日からの動きを報告
- IvantiがCVE-2026-104935を公表し、修正版を公開。CISAが同日に悪用確認の一覧へ追加
- Ivantiが25.1.1.3/22.8R2.6を公開。残り2件の脆弱性を修正
- CISAが2件を悪用確認の一覧に追加
確かめて、対応する6ステップ
- VPN機器の種類を確かめる
情シス担当者か、ネットワークの保守会社に聞きます。機器の購入資料、保守契約書、社員が使っている接続アプリの名前(Ivanti Secure Access、Pulse Secureなど)も手がかりになります。
- 版を確認する
機器の管理画面で版を確認し、上の表と見比べます。
- 更新の前に、記録を保存する
セキュリティ会社のRapid7社は、可能であれば再起動やリセットの前に、メモリとログを保存するよう勧めています。調査の材料が消えないようにするためです。
- 最新の修正版に更新する
通常の更新日を待たず、緊急の作業として行いましょう。
- 侵入の形跡を調べる
Volexity社は、
/dana-na/auth/url_default/welcome.cgiへの大量のアクセスや、/tmp/の中の痕跡の確認を勧めています。通信とメモリの調査には専門の知識が必要です。 - あやしければ、パスワードと鍵を入れ替える
Ivantiの復旧手順に沿って対応し、VPNとActive Directoryのパスワード、パソコンの管理者パスワード(LAPS)、BitLockerの回復キーなどを入れ替えます。
保守会社に聞いておきたいこと
VPN機器の管理を外部に任せている会社は、次のことを確認しましょう。
- うちのVPN機器は何ですか? 今の版はいくつですか?
- 10月29日以降の修正版(25.1.1.3/22.8R2.6)になっていますか?
- 更新の前にログとメモリを保存しましたか?
- 点検ツール(ICT)だけでなく、通信やログの確認もしましたか?
- VPN機器の管理画面は、インターネットから開けない設定ですか?
国内では、VPN以外の入り口を狙う被害も続いています。「2026年10〜11月の国内サイバー被害まとめ」もご覧ください。保守会社と連絡がとれない場合は「システム保守の引き継ぎ」が参考になります。
放っておくと? 対応すると?
そのままにした場合
- 社内ネットワークの入り口に弱いところが残ったまま
- 社内アカウントが盗まれ、被害が社内全体へ広がるおそれ
- 痕跡が残りにくいため、気づくのが遅れるおそれ
更新し、形跡を確認した場合
- 組み合わせて使われた3つの弱いところが直る
- 万一の侵入にも、早めに手を打てる
- 取引先にも「対応済み」と説明できる
Digi Dinosにおまかせください
Digi Dinos(デジダイノス)は、ベトナムと日本に拠点をもつシステム開発会社です。創業から8年、150件以上のプロジェクトを手がけてきました。日本語ができるチームが対応します。
- 社内システムの現状調査:どんな機器やシステムを使っていて、だれが保守しているのかを整理します。
- 古いシステムの保守を引き継ぎ:PHP、Java、Node.js、Python、.NETなど、主な言語に対応します。
- 新しい脆弱性への対応:今回のような更新が出たら、影響を調べて修正します。
- 資料がなくても大丈夫:作った会社がいない、仕様がだれにもわからないシステムでも、プログラムを読んで調べ、資料を作り直し、計画をまとめてご提案します。
- 永久保証:私たちが手を入れた部分に不具合が見つかったら、責任をもって直します。保守契約を続けていただいている間は、期限を区切らずに保証します。
よくある質問
10月に更新しました。もう対応は終わっていますか?
10月13日の修正版(25.1.1.2/22.8R2.5)のままなら、終わっていません。残り2件の脆弱性が直っていないため、25.1.1.3以降または22.8R2.6へ更新してください。
点検ツール(ICT)で問題は出ませんでした。安全ですか?
安全とは言いきれません。今回の攻撃はファイルに変更を残さないため、ICTでは見つからないと報告されています。ログや通信の確認もあわせて行いましょう。
うちは大企業ではありません。狙われますか?
インターネットから接続できる機器は、会社の規模に関係なく機械的に探されます。今回の報告は限られた組織への攻撃ですが、攻撃の方法が広まると、対象が増えるおそれがあります。
VPNを使わない方法に切り替えるべきですか?
すぐに決める必要はありません。まずは今回の更新と確認を済ませましょう。そのうえで、機器の保守を続けられるか、利用者の数はどのくらいかをふまえて、中長期で検討すれば十分です。
参考・出典
- Ivanti「Security Advisory: Ivanti Connect Secure (CVE-2026-104935)」
- Volexity「A Series of Unauthenticated Events」(2026年10月13日)
- CISA「CISA Adds Two Known Exploited Vulnerabilities to Catalog」(2026年10月30日)
- SecurityWeek「Ivanti Patches Two More Zero-Days Exploited in Connect Secure Attack Chain」(2026年11月2日)
- Cyber Daily「Patch now! Ivanti updates security advisory for trio of exploited vulnerabilities」
- シンガポールCSA「Active Exploitation of Vulnerability in Ivanti Connect Secure」