Tomcat脆弱性の対応|2026年10月の8件と更新手順
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2026年10月20日、Webアプリを動かすソフトウェア「Apache Tomcat(アパッチ・トムキャット)」の脆弱性8件が公開されました。翌21日にはJVNも「JVNVU#93110597」として取り上げています。修正済みの版は11.0.27、10.1.61、9.0.123です。
この記事では、Javaで作られた業務システムを持つ会社に向けて、対象の版、設定によって影響が変わる点、更新の手順を説明します。Tomcatはパッケージ製品やSpring Bootアプリの中に組み込まれていることも多いため、「うちは使っていない」と思っている会社も確かめてみてください。
この記事のポイント
- 8件のうち3件はApacheの評価で「Important(重要)」です。LDAP認証の抜け道と、HTTP/2やAJPで別の人の応答が混ざるおそれのある問題です。
- 3件は特定の設定や版でのみ影響します。自社の設定を確かめることが大切です。
- 対応は、11.0.27、10.1.61、9.0.123以降への更新です。
- 8.5や7.0などサポートが終わった版にも影響する問題があります。修正版は提供されません。
8件
公開された脆弱性(重要3件・低5件)
9.1
CISAが付けた最も高いCVSS(2件)
10月12日
修正版の公開日(脆弱性の公開は20日)
ことばの説明
Tomcat=Javaで作られたWebアプリを動かすためのソフトウェアです。業務システムで広く使われています。
脆弱性(ぜいじゃくせい)=システムの"弱いところ"。悪い人に見つかると、そこから攻撃されるおそれがあります。
LDAP(エルダップ)=社員のIDやパスワードをまとめて管理する仕組みでよく使われる通信の方式です。
HTTP/2・AJP=Webサーバーやブラウザとやり取りするための通信の方式です。
どんな脆弱性? どれを急ぐべき?
重要度の高い3件は次のとおりです。どれもすべてのTomcatで起きるわけではなく、版と設定によって影響が変わります。
| CVE番号 | 起こりうること | 影響する条件 |
|---|---|---|
| CVE-2026-101296 Important | 正しいパスワードがなくてもログインできてしまう | JNDIRealm(LDAPなどと連携する認証)で、GSSAPI以外のSASL認証を設定している場合 |
| CVE-2026-101356 Important | HTTP/2の非同期処理でエラーのあと、別の利用者とリクエストや応答が入れ替わるおそれ | HTTP/2を使い、非同期処理のサーブレットがある場合。11.0.22〜26、10.1.55〜60、9.0.118〜122 |
| CVE-2026-103119 Important | AJPの大きな応答が次のリクエストにまたがり、前の応答のデータが次の人に漏れるおそれ | AJPを使っている11.0系のみ(11.0.0-M25〜11.0.26) |
Tomcatに同梱されている server.xml では、AJPのコネクタとHTTP/2の設定はコメントアウトされています。つまり、はじめの設定のままなら、AJPとHTTP/2の問題は動きません。ただし、設定を変えて使っている会社は少なくありません。自社の設定を見ずに「影響なし」と決めないようにしましょう。
残りの5件はApacheの評価で「Low(低)」です。
- CVE-2026-93446:TLS 1.3の接続がときどき失敗することがある
- CVE-2026-88041:HTTP/2のトレーラー情報が次のリクエストに混ざる
- CVE-2026-74049:JSPの
<c:redirect>のあとも、ページの残りの処理が続いてしまう - CVE-2026-74048:FIPSモードの有効化に失敗しても、そのまま起動してしまう
- CVE-2026-80353:UNIXドメインソケットの権限設定に関する問題(一覧では9.0系に記載)
悪用は確認できていません。ただし、評価が分かれています
Apacheの告知とJVNに、実際の攻撃の記載はありません。米国CISAの「悪用が確認された脆弱性」の一覧(2026年11月6日版)にも、今回の8件は見当たりません。
一方で、CISAはCVEの記録の中で、CVE-2026-101356とCVE-2026-103119にCVSS 9.1を付けています。Apacheの評価「Important」より高い数字です。設定が当てはまるなら、優先して対応しましょう。
なお、Tomcatでは別の脆弱性(CVE-2026-34486)が2026年8月にCISAの一覧へ追加されています。修正が出たら早めに反映する体制が大切です。
対象の版と、移る先
| 系統 | 更新する版 | 使えるJava | 補足 |
|---|---|---|---|
| 11.0 | 11.0.27以降 | 17以降 | 今回の8件のうち7件が対象 |
| 10.1 | 10.1.61以降 | 11以降 | 今回の8件のうち6件が対象 |
| 9.0 | 9.0.123以降 | 8以降 | サポート終了は2027年3月31日より早くはならない見込み(Apacheの案内) |
| 8.5・7.0など | 修正版なし | ― | CVE-2026-101296などに影響。サポートされている版へ移行 |
※8.5系のサポートは2024年3月31日に終わっています。CVEの記録によると、CVE-2026-101296とCVE-2026-74049は8.5系と7.0系にも影響します。
※9.0系を使っている場合は、Apacheが案内する9.1系の予定もあわせて確かめておくと、次の計画が立てやすくなります。
確かめて、対応する5ステップ
- Tomcatがどこで動いているかを洗い出す
サーバーに直接入れたもののほか、パッケージ製品、Dockerのイメージ、Spring Bootアプリに組み込まれたもの(
tomcat-embed-core)も確かめます。 - 版を確認する
サーバーでは
bin/version.sh(Windowsはversion.bat)で確かめられます。アプリに組み込まれている場合は、ビルド時の依存関係を見ます。 - 設定を確認する
server.xmlなどで、JNDIRealmの認証方式、HTTP/2(UpgradeProtocol)、AJPのコネクタを使っていないかを確かめます。 - 検証環境で更新を試す
同じ系統の中での更新なら、影響は比較的小さくて済みます。ログイン、ファイルのアップロード、外部との連携などの主な機能を試してから本番に反映しましょう。
- Javaの版もあわせて確認する
Tomcatの更新のついでに、Javaの版も見直します。「Java脆弱性対策」も参考にしてください。
すぐに更新できないときは
Apacheの告知は、修正版への更新を対策としています。更新までの間は、影響のある機能を止めることで危険を減らせます。根本的に直すには、更新が必要です。
- AJPを使っていなければ、コネクタを無効にする。使う場合は、外部から接続できないようにする
- HTTP/2が必要でなければ、
UpgradeProtocolの設定を外す - LDAP連携の設定が当てはまる場合は、優先して更新の日程を決める
Javaの古いシステムを持っている会社へ
Tomcatが古いままのシステムは、JavaやOSも古いことがよくあります。一度にすべてを新しくできない場合は、インターネットに公開している部分から順に見直しましょう。考え方は「古いシステムの脆弱性対策」で、開発会社と連絡がとれない場合は「システム保守の引き継ぎ」で説明しています。
委託先に聞いておきたいこと
- うちのシステムのTomcatは今どの版ですか? 10月に公開された修正は反映されていますか?
- アプリやパッケージの中に、別のTomcatが組み込まれていませんか?
- LDAP連携、HTTP/2、AJPは使っていますか?
- Tomcatの更新は、保守契約に含まれていますか?
放っておくと? 対応すると?
そのままにした場合
- LDAP連携の設定によっては、なりすましのログインを許すおそれ
- 別の利用者に応答の内容が見えるおそれ
- 修正が積み重なり、次の更新がむずかしくなる
修正版に更新した場合
- 今回の8件がまとめて直る
- サポートされている版で、次の修正も受け取れる
- 取引先に「対応済み」と説明できる
Digi Dinosにおまかせください
Digi Dinos(デジダイノス)は、DX、セキュリティ、システムの運用・保守を支援する会社です。日本とベトナムに拠点をもち、創業から8年、150件以上のプロジェクトを手がけてきました。ISO 27001の認証を取得しており、日本語ができるチームが対応します。
- Java・Tomcatの更新:版と設定の確認から、検証、本番への反映まで対応します。
- 古いシステムの保守を引き継ぎ:ほかの会社が作ったシステムも、プログラムを読んで調べ、引き継ぎます。
- 移行の計画づくり:サポートが終わった版から移る方法と、費用・期間をまとめてご提案します。
- 永久保証:私たちが手を入れた部分に不具合が見つかったら、責任をもって直します。保守契約を続けていただいている間は、期限を区切らずに保証します。
よくある質問
LDAP連携を使っていません。それでも更新は必要ですか?
必要です。Important以外の問題も含まれているほか、古いままでいると次の更新の負担が大きくなります。急ぐ度合いは下がっても、計画して更新しましょう。
Spring Bootのアプリです。どこを確かめればよいですか?
ビルドの依存関係にある tomcat-embed-core の版を確かめます。Spring Bootの版を上げるか、Tomcatの版を指定して更新します。
Tomcat 8.5を使っています。どうすればよいですか?
8.5系のサポートは2024年3月に終わっており、今回の修正版はありません。9.0系以降への移行を計画しましょう。その間は、外部に公開する範囲をできるだけ狭くしてください。
9.0系のサポートはいつまでですか?
Apacheは、9.0系のサポート終了は2027年3月31日より早くはならないと案内しています。その後は9.1系が用意される予定です。最新の案内を確かめてください。
参考・出典(2026年11月8日確認)
- JVN「JVNVU#93110597: Apache Tomcatにおける複数の脆弱性(2026年10月20日)」
- Apache Tomcat「Apache Tomcat 11.x vulnerabilities」
- Apache Tomcat「Apache Tomcat 10.x vulnerabilities」
- Apache Tomcat「Apache Tomcat 9.x vulnerabilities」
- Apache Tomcat「Which Version Do I Want?」(サポートの状況)
- CVE Record「CVE-2026-101296」
- CVE Record「CVE-2026-101356」
- CVE Record「CVE-2026-103119」
- CISA「Known Exploited Vulnerabilities Catalog」(2026年11月6日版)